となりのお弁当屋さん

フリガナ無し

1. いつもの帰り道

田中さんは、都内の会社で働くOLだ。

毎日、朝早く起きて夜遅くまで仕事をするので、いつも疲れてばかりいる。

早く家に帰って、温かいシャワーを浴びたい。

そんなある日の夜7時ごろ、田中さんはいつもの帰り道で、見慣れない小さなお弁当屋さんを見つけた。

場所は、古くて暗いビルの1階だ。

「あれ?こんな店、前にもあっただろうか?」

店のドアには木でできた看板がかかっていて、「満腹亭」と書いてある。

店は小さくて古いけれど、中から漏れる光といい匂いが、田中さんをなぜか呼んでいるようだった。

2. 不思議なルール

田中さんは勇気を出して、その「満腹亭」のドアを開けてみた。

中には、小さなカウンターと、その奥に優しそうなおじいさんの店主がいた。

メニューは壁に貼ってある紙に、たった一種類だけ書いてある。

「おまかせ弁当:1,000円」

田中さんが「あの、メニューはこれだけですか?」と聞くと、店主はニコニコして答えた。

「はい。うちのお弁当は、お客さんの今日の気持ちに合わせて作りますから。お客さんの今の気持ちを教えていただければ、それにぴったりのものを作りますよ。」

田中さんは少し驚いた。

しかし、そのおじいさんの真剣な顔を見たら、嘘をついているはずがないと思った。

「実は今日、仕事で少し失敗してしまって……。ちょっと落ち込んでいるんです。でも、明日も頑張りたいので、元気が出るものがほしいです。」

3. 最高のオムライス

店主は田中さんの話を聞くと、何も言わず、すぐに調理を始めた。

しばらくすると、目の前に置かれたのは、黄色い卵がきれいに包まれたオムライスだ。

ケチャップで書かれたハートのマークもかわいい。

「どうぞ。頑張り屋の田中さんのために、特別なオムライスです」

田中さんは温かいオムライスを一口食べた。

その瞬間、口の中に幸せな味が広がり、今日あった嫌なことを全部忘れてしまった。

「美味しい……!今まで食べた中で、一番美味しいです!」

田中さんは夢中でオムライスを食べ、あっという間に完食した。

食べ終わると、おじいさんに心から「ごちそうさまでした!」と言って、店を出た。

4. 幻の店?

次の日、田中さんは朝から楽しみにしていた。

「またあの店で最高のオムライスを食べよう!」

しかし、昨日「満腹亭」があった場所に行ってみると、そこには何もない。

古いビルの1階には、昨日までなかったはずの新しい自動販売機が置かれていただけだ。

「あれ?おかしいな。ここにあったはずだけど……」

田中さんは周りの店の人たちに「この辺に、お弁当屋さん、ありませんでしたか?」と聞いてみた。

しかし、みんな「そんな店は知らない」と言うばかりだ。

5. 小さな宝物

結局、「満腹亭」はその後、二度と見つからなかった。

まるで、田中さんの前に一晩だけ現れた、幻の店だったようだ。

しかし、田中さんは、あの時の温かいオムライスの味と、おじいさんの優しさを決して忘れることはない。

あのオムライスを食べたおかげで、田中さんはどんなに疲れても、次の日も頑張れるようになった。

「満腹亭」は消えてしまったけれど、あの日食べた最高のオムライスは、今も田中さんの心の中で、小さな宝物として輝き続けている。

フリガナあり

1. いつもの帰かえり道みち

田中たなかさんは、都内とない会社かいしゃはたらくOLだ。

毎日まいにちあさはやきてよるおそくまで仕事しごとをするので、いつもつかれてばかりいる。

はやいえかえって、あたたかいシャワーをびたい。

そんなあるよる7時しちじごろ、田中たなかさんはいつものかえみちで、見慣みなれないちいさなお弁当べんとうさんをつけた。

場所ばしょは、ふるくてくらいビルの1階いっかいだ。

「あれ?こんなみせまえにもあっただろうか?」

みせのドアにはでできた看板かんばんがかかっていて、「満腹まんぷくてい」といてある。

みせちいさくてふるいけれど、なかかられるひかりといいにおいが、田中たなかさんをなぜかんでいるようだった。

2. 不思議ふしぎなルール

田中たなかさんは勇気ゆうきして、その「満腹まんぷくてい」のドアをけてみた。

なかには、ちいさなカウンターと、そのおくやさしそうなおじいさんの店主てんしゅがいた。

メニューはかべってあるかみに、たったいっ種類しゅるいだけいてある。

「おまかせ弁当べんとう1,000せんえん

田中たなかさんが「あの、メニューはこれだけですか?」とくと、店主てんしゅはニコニコしてこたえた。

「はい。うちのお弁当べんとうは、おきゃくさんの今日きょう気持きもちにわせてつくりますから。おきゃくさんのいま気持きもちをおしえていただければ、それにぴったりのものをつくりますよ。」

田中たなかさんはすこおどろいた。

しかし、そのおじいさんの真剣しんけんかおたら、うそをついているはずがないとおもった。

じつ今日きょう仕事しごとすこ失敗しっぱいしてしまって……。ちょっとんでいるんです。でも、明日あした頑張がんばりたいので、元気げんきるものがほしいです。」

3. 最高さいこうのオムライス

店主てんしゅ田中たなかさんのはなしくと、なにわず、すぐに調理ちょうりはじめた。

しばらくすると、まえかれたのは、黄色きいろたまごがきれいにつつまれたオムライスだ。

ケチャップでかれたハートのマークもかわいい。

「どうぞ。頑張がんば田中たなかさんのために、特別とくべつなオムライスです」

田中たなかさんはあたたかいオムライスをひとくちべた。

その瞬間しゅんかんくちなかしあわせなあじひろがり、今日きょうあったいやなことを全部ぜんぶわすれてしまった。

美味おいしい……!いままでべたなかで、一番いちばん美味おいしいです!」

田中たなかさんは夢中むちゅうでオムライスをべ、あっというかんしょくした。

わると、おじいさんにこころから「ごちそうさまでした!」とって、みせた。

4. 幻まぼろしの店みせ?

つぎ田中たなかさんはあさからたのしみにしていた。

「またあのみせ最高さいこうのオムライスをべよう!」

しかし、昨日きのう満腹まんぷくてい」があった場所ばしょってみると、そこにはなにもない。

ふるいビルの1階いっかいには、昨日きのうまでなかったはずのあたらしい自動じどう販売はんばいかれていただけだ。

「あれ?おかしいな。ここにあったはずだけど……」

田中たなかさんはまわりのみせひとたちに「このへんに、お弁当べんとうさん、ありませんでしたか?」といてみた。

しかし、みんな「そんなみせらない」とうばかりだ。

5. 小ちいさな宝物たからもの

結局けっきょく、「満腹まんぷくてい」はそのあと二度にどつからなかった。

まるで、田中たなかさんのまえひとばんだけあらわれた、まぼろしみせだったようだ。

しかし、田中たなかさんは、あのときあたたかいオムライスのあじと、おじいさんのやさしさをけっしてわすれることはない。

あのオムライスをべたおかげで、田中たなかさんはどんなにつかれても、つぎ頑張がんばれるようになった。

満腹まんぷくてい」はえてしまったけれど、あのべた最高さいこうのオムライスは、いま田中たなかさんのこころなかで、ちいさな宝物たからものとしてかがやつづけている。

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